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白河の経済的見解(1) 「なぜ日本の将来には原発が必要なのか」を乗数効果の観点から

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最近の私のブログは口調がかなり厳しく、

・「愚民」だの「凡愚」だの「キチガイ」だのと連呼して、バカじゃねーの?

というキャンペーンがそろそろ始まる頃であろうから(苦笑)、ここで、私の経済と原発についての考え方の基本をしっかりまとめておく。

 

 

経済の話でも、純粋に「政治的立場とは全く関係なく」分析することはできないので、納得できないところがあるとすればそれはどこか、それはどういう「政治的価値観の前提」に立っている反論なのか、を意識すると、冷静に読めると思う。

 

表題に書いたように、私の考えは、日本の将来にとって、原発は絶対に手放せない。それは何より、日本の経済のためである。これは以下の根拠より、全くゆるがない。

 

著名な経済学者の中でさえ、「福島であれほどの事故を起こしたんだ。原発には『経済的合理性』などない」と言って憚らないのもいるのだが、落ち着いて考えてみれば、以下のように、そういう主張は、経済的に全く成り立たないとわかる。

 

・反論1

その、

「経済的合理性などない」

の根拠には、医学的にも物理学的にも全く影響がない程度の放射線量でありながら、「除染しろ」「賠償しろ」「移転費用を負担しろ」と、必要以上に「原発事故のコスト」を上乗せしようとしている人々があまりにも多すぎて、そのせいで「事故の後始末のコスト」が天文学的金額に膨らんでいる、あるいは意図的に膨らませようとしている、という事情を無視したものである。

 

根拠もなく放射線にだけは猛烈に恐怖心を抱かせられている人々のアーカイブは、当ブログの去年の記事のタイトルを流して見ていただければいくつも見つかるが、例えば

放射脳なお母さんは、マスクをしていても肩は全開 放射脳な方々にとって、ガス抜きにもならなかった「市民討論」−NHK ツイッターで絡んできた「放射脳」クンから、現代日本人の頭の悪さについて考察する

などを参照。

 

放射線がどのくらい危険かについては、当ブログではしつこく紹介しているが、オックスフォード大学の物理学教授であるアリソンの、『放射能と理性』を落ち着いて読んでいただければ、ごく普通の人でも理解できる。1500円ちょっとである。

 

・反論2

最近、

「最終処分場はどうするんだ!いくらかかると思っているんだ!」

という声をネットやメディアでよく聞くが、これも当ブログでは、以前から何度も

 

竹田オミヤス先生、予想通り「関電陰謀論」を展開(原発は、トイレのないマンションではありませんよ)

 

などの記事やツイッターで、今ヨーロッパ(フィンランド)で、最終処分場が実際に建設中であることを指摘している。その費用は日本では約3兆円という試算であり、実際に建設中のフィンランドでは、100年分の最終処分が可能な処分場が建設中である。

 

例えば、今後日本で最終処分場が3兆円で作られ、それが50年で満杯になるとしても、1年あたりの費用は600億円、

さらに例えば、もし予算が膨らみ、仮に6兆円で作られ、それが50年で満杯になるとしても、1年あたりの費用は1200億円である。

 

「年間1200億円」と聞いてびっくりする人もいるだろうが、昨年の大震災以降、化石燃料の輸入量が膨大に増加し、

下の記事からも、大震災以降の貿易赤字に比べれば「桁が違うレベル」であることがわかる。しかも、この「貿易赤字」という「赤字」が、経済復興にとってはとんでもなく厄介な「赤字」なのだ。

 

 

貿易赤字、「出口」見えず=欧州、円高、燃料輸入増が逆風に(時事通信 2012年7月25日掲載)←上から三つ目の◎の記事

 7月25日に発表された2012年上期(1〜6月)の貿易収支(通関ベース)は2兆9158億円の赤字となり、半期ベースとして過去最大となった。欧州債務危機や円高に伴う輸出の伸び悩みに加え、火力発電燃料となる液化天然ガス(LNG)輸入増といった赤字構造は根深い。東日本大震災をきっかけに陥った赤字拡大基調からの「出口」は見えず、通年ベースでも第2次石油危機後の1980年に記録した過去最大の赤字(2兆6129億円)を上回るのが確実な情勢だ。

 11年通年の貿易収支は2兆5647億円の赤字で、31年ぶりに赤字転落した。その要因のうち、震災やタイ洪水で広がった部品供給網の混乱は既に解消され、自動車輸出などは回復が進んでいる。

 しかし、今年上期の輸出総額は1.5%増にとどまった。米国向けは2割増えた半面、欧州危機に揺れる欧州に加え、景気減速感が出ている中国向けを中心にこれまで好調だったアジア向けが落ち込んだためだ。一方で、輸入総額は、原発の運転停止を補うLNG輸入が5割急増したことを主因に7.4%増加した。

 原油高が若干沈静化したのを一因に、6月の貿易収支は617億円の黒字となり、4カ月ぶりに黒字転換した。明るい兆候と言えるが「今後の原発の稼働状況次第だが、黒字が続くとは思えない」(邦銀エコノミスト)との指摘もある。

 市場では、欧州危機、円高、燃料輸入増の赤字構造が変わらなければ、今年通年の貿易赤字は4兆円を超えるとの見通しが強まっている。「場合によっては来年いっぱいは赤字が残る可能性が高い」(外資系証券エコノミスト)との悲観論も浮上している。

(ここまで)

半年で2兆9000億円の貿易赤字・・・これ、単純に倍にすると、1年で5兆8000億円の赤字である。しかも、化石燃料への依存が変わらない限り、エネルギー価格が上がれば、この赤字はさらに増えるのだ。現在の超円高状態で、これだけの赤字なのだ。ではこの異常な円高で、輸出産業が息を吹き返すのか?「すでに日本は外需に依存していない」という有力な説があることも知っているが、それでも家電メーカーや自動車メーカーが、輸出不振で倒産が連続すると、それだけで外国の日本経済、引いては日本円に対する評価は下がっていく可能性が高い。

 

※ちなみに、2011年の貿易赤字は約2兆5000億円である。2012年は、半年でこれを上回る赤字をたたき出した、ということだ。というか、3兆円あれば、それだけで使用済み核燃料最終処分場ができてしまうんだが。。。今年の1月〜6月の貿易赤字分で、建設できてしまうのだが。。。

 

化石燃料需要増を中心とした貿易赤字への転落は、2012年の予想として、このままで推移するならば、年間で6兆円弱という額である。上記の、「国内での最終処分場建設に懸かる1年あたりの費用」は1200億円で、しかもこのカネの中で、輸入品に対して使う費用以外は、全て国内で環流する。しかも、このおかげで、原発の持続的稼働のハードルがかなり低くなるのだ。

 

※ちなみに、こういうグラフを見れば、よくメディアで喧伝されている、「日韓関係、日中関係がおかしくなったから貿易関係がおかしくなっているのだ」という言説が、どんだけウソ八百なのかがよくわかるだろう。はるかにそれ以前から、輸出減少で貿易部門はどえらいことになっているのだ。まだ信じられない人はこちらを。

 

今年11月21日深夜の「NHK news WEB24」より。このグラフから、

・対ユーロ圏の方が、対中国の約2倍も輸出が落ちている。

さらに、

・対中国も、石原慎太郎が「尖閣買うぞ発言」をする前から、2011年後半から2012年初旬にかけてGDP成長率ががたんと落ちているせいで、日本から中国への輸出額が減っている。

ということがよく読み取れる。各グラフ、上のグラフがGDP成長率で、下の「〜%」が、日本からの輸出額の変化である。

 

 

 

 

・反論3

国民・企業による「コスト増」が、輸入品(当然、化石燃料はこちらである)に対するものか、そうでないもの(国産品)に対するものかという区別は、「乗数効果」という観点から見ると、きわめて重要である。デジタルリテラシーがかなり低い私が、この記事を書くために、必死こいて以下の二つのグラフを作った。

 

<↑ ケース1 輸入品への支出額がそこそこ低い場合> 

 

乗数効果とは、公共事業費用だろうが原発最終処分場建設費用だろうが、個人や企業や政府の支出が国内品に向けられる限り、そのカネは他人の収入増加につながり、それがグルグル回って、当初の消費増加額(政府支出増加も含む)を上回る、需要の増加や、それに伴う実質所得(可処分所得)の増加が期待できるという現象である。

菅直人は財務相時代、この概念を理解していなかったようだ。もうこれだけで民主党がどれだけひどい「自称政党」なのかがわかるだろう。単なる選挙互助会に過ぎない。

 

バ菅財務大臣は、国会論戦でも「乗数効果」と「消費性向」がわからないようで・・・

wikipedia、「乗数効果」

 

 

この記事を書いたときはまだPCにTVキャプチャー機能を載せていなかったので、文字だけで失礼。

 

そしてこの乗数効果は、増税を課すと、その分だけまた相乗効果で減ってしまうので、私はデフレ脱却以前に消費増税をすることには反対である。ここだけを見ると、私はみんなの党を支持しているように思うかも知れないが、みんなの党は脱原発を主張している上に、独裁制に向かって国会議員定数大幅減を主張しているので、その理由で支持しない。維新の会に至っては、原発に関して、石原と橋下で言っていることが180度違う上に、さらに独裁制へ向かって一直線に進もうとしているだけなので、なおさら支持しない。以下の記事に書いたとおりだ。

 

で、「石原新党」を支持するかどうかだけど

 

でだ。昨年の大震災以降の日本のように、化石燃料への需要激増のせいで、相対的に輸入への支出額が増えると、上の「ケース1」のグラフが、下の「ケース2」のように変わる。

 

 <↑ ケース2 輸入品への支出額が高くなった場合>

 

鋭い読者ならもうご理解いただけると思うが、「脱原発」で、以下の玉つき状態が生じる。

 

1 脱原発により、「再生可能エネルギー」で電力が安定供給されるまで、ひたすら日本の化石燃料の輸入額が増える。

2 そのせいで、慢性的な貿易赤字になる。

3 その貿易赤字分のカネは、日本から海外へ流出するので、日本国内で環流しない資金である。だから、「ガソリン代や電気代などが上がるのに、どの会社も給料が上がらない」という事態が生じる。ヘタをすると、「化石燃料を確保するために、社内でのリストラが加速し、ますます失業率が上がる可能性」すら普通にある。

4 かくして、燃料代、電気代が慢性的に上がるのに、収入が増えない、「物価は上がるが景気は悪くなる」という、「最悪のインフレ」を引き起こす。

 

これは心情的な脅しではなく、きわめて客観的な経済的予測である。現在の貿易赤字転落の状況はこのページから。

 

2011年以降、赤線のaverage(平均線)で見ても、確実に赤字に転落している。「脱原発」も「卒原発」も、この流れを全く止められない/止めようとすらしない姿勢だから、私は「脱原発」あるいは「卒原発」を主張する政党を全く支持しないのだ。

 

 

安倍自民党の言う「インフレターゲットを」という主張は、日本国内に流れる「円」の総量を増やすことで、密かに貯金を貯め込んでいる層に、

・これからのオレの貯金額の価値は下がりそうだ → 今のうちにカネを使っておこう

と思わせるための「心理作戦」であり、日経株価指標TOPIXのこの2週間の推移を見ても、市場はこの流れできっちり株高、円安に振れている。先週の朝生で東京新聞の長谷川が珍しく自民党を評価したように、

 

「安倍さんは、クチだけでこれだけ株高と円安を誘導したんだ。」

 

そのものである。ちなみにこういう効果にも名前がついており、「アナウンス効果」と言う。株高と緩やかな円安で、輸出企業が息を吹き返し、株高のおかげで各企業は設備投資や商品開発の余裕が生まれる(なぜなら、自社株を担保に、金融機関から借金をしやすくなるからだ)。

 

野田佳彦という人間が、11月25日の「報道ステーションサンデー」で、

 

「株が高くなっても、儲かるのは株を持っている金持ちだけですよ?庶民の暮らしは何も変わらないんですよ?」

http://www.youtube.com/watch?v=aG-v63SQ0NU&feature=youtu.be

と言っていたようだが、「財務副大臣」を経て「財務大臣」「総理大臣」までやり、消費税増税を強行しようとした人間の言葉ではない。菅直人級の経済オンチであるとしか言いようがない、と私が毒を吐きたくなるのも、おわかり頂けると思う。

ANNニュースより、画像を。

 

 

 

※野田さんのおっしゃっていることの方が、経済のイロハのイすら理解していないという点で、はるかに「極めて危険」です。 

 

 

とりあえずカネモチが「これからインフレになるぞ」と思って、消費額を増やすことが、他の労働者の所得増加につながり、それが連鎖することで、カネモチが最初に支出した額以上に、景気は上向きにできるのだ。野田佳彦は、こんなことも理解できないという意味で、「乗数効果」をこれまた、菅直人と同じくらい、全く理解していない。

もし理解していて、上記のような発言をしていたのだとしたら、それは野田佳彦が、これを読んでいるあなたたち日本国民を、トコトンバカにしている、舐めくさっている証拠である。これが、「民主党」と名乗る「自称政党」の本質である。

 

 

飯田哲也も嘉田由紀子も小沢一郎も山口那津男も渡辺喜美も橋下徹も石原慎太郎も自見なんとかも福島瑞穂も志位和夫も舛添要一も、そして野田佳彦も、「まず脱原発ありき」であって、脱原発した際の経済的リスクを全く説明していない。

 

唯一、自民党だけが、

>将来の原発比率は「10年以内に電源構成のベストミックスを確立する」との表記にとどまり、現時点の数値目標を示さなかった。

ソース

と政権公約に明記した。「今決めないことを明記した」のである。今、日本経済の将来も考えずに、朝生での香山リカがまた言ったように、

・国民がちょっとだけ経済でがまんすれば、原発なしでもなんとかやっていけるかも。

という、感情的かつ完全に「日本の将来」に無責任な国民にも多少支持されるかも知れない余地を残しつつ、自民党は今言える最大限の表現で、

・今原発を全廃するとは決めない!

と明言しているのだ。だから私は今回の選挙で、自民党を胸を張って支持するのだ。

 

原発の安全性担保については、これも当ブログで何度も書いてきたように、福島原発より震源地にはるかに近かった女川原発が安全に停止した(一時は、その頑丈さから、住民の避難場所にさえなった)のだから、安全基準や設置基準を見直し、本当に危険性の高い原発を仕分し、廃炉にする一方で、地盤がかなり安全な場所には原発を新規建設さえできるし、経済的に日本人が今後生き延びるためには、そうすることが必須条件であるとすら考えている。

 

これまたしつこく当ブログで書いてきたが、単位質量あたりのエネルギーは、化石燃料:原子力=1:400万、すなわち、400万倍である。だから、原発誘致地域にジャブジャブ交付金を出しても、以前の方が電気代が安くて済んでいたのだ。脳髄反射ですぐ

「原子力ムラ」「御用学者」「エア御用」「真性御用」

などという言葉を使いたくなる、マスゴミとサヨクのプロパガンダにまんまと釣られている方々はくれぐれも、この現実を無視しないようにしていただきたいものだ。

 

 

ちなみに、鈴木宗男が

・ロシアから安価に天然ガスを買う

と力説しているが、これも信じられないほどの愚策である。天然ガスという、「エネルギー」をロシアに頼るということは、日本国民の生殺与奪の権利をロシアに売るのと同じことだ。そんな状態を引き起こし、一体いつになったら北方領土が還ってくるというのか。

北方領土に関心がない国民(いるんだろうなあ、こういう連中も)にとっても、こうなると、何を決めるにもアメリカ、中国、ロシアの顔色をいちいち伺わなくてはならなくなるという政治的リスクを生む。そんな状況で、TPPやFTAなどの交渉がまともにできると思っているのが鈴木宗男である。もしくは、わかってて「ロシアの犬」にも平気でなろうとしているのが鈴木宗男率いる「新党大地」と名乗る集団である。

以上、鈴木宗男は論外である。ハッキリ言って「売国奴」とはこういう人間のことである。

 

 

以上、今日は時間があった(というか作ることができた)のでしっかり書けた。できるだけ近い将来に、「その2」を書きたい。テーマは「国民は本当にデフレ脱却を望んでいるのか??」である。この点も、投票先を選ぶ上で、きわめて重要な論点だと考えている。

 

 

 

【追記】

あ、そうそう。こういう記事を書くと

・じゃあ東京に原発作れよ!

という煽りだか逆ギレだか何だか意図がわからない発言が出てくるが、

 

・東京の高い用地取得費

・首都に原発を置くことに伴うテロ対策費

 

の2つを、東京電力管内の全ての原発電力使用者で折半するというのなら、今私が住んでいる東京に原発を作ってもらって全然かまわないよ。ホントに。

 

ただ、「用地取得費が高い」や「テロ対策費がかかる」ことを根拠に、「だから原発はコストが高い」などと言うなよ(笑)。そもそも用地費もテロ対策費もバカ高くなる東京に原発を置く経済合理性そのものがないのだから。

↑っていちいち言わないと、ここから暴れるマジキチがホントに普通にいるからな。。。そりゃ自民党が教育改革を、というのもよくわかる。日教組や全教のせいで、「結論」さえ「センセイ」のと同じなら、「その理由は何でもいい」という「文化」をヤツらが作っちゃったからな。

 

やれやれ。

先週のキチガイ弁護士との出会い(笑)以来、

・自分で勝手に作ったありえない「前提」を元に大騒ぎする「マジキチ(真性の、マジのキチガイ)」

は、早川由紀夫や武田邦彦、山本太郎らの「有名人」だけではなく、けっこうな割合で日常社会に存在しているということが、当ブログでの「新たな前提」となったせいで、いちいちいろいろ書くのがホントに疲れる(苦笑)。

 

ま、物書きとしてはしょうがありませんな。

 

 

 


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