勝手に1週間ほどお休みをいただいていた。別のことに没頭していた時期でもあり、記事更新はしなかったが、読者から不十分ながらも反論コメントがいただけたり、メールで情報がいただけたりと、有意義な1週間であった。
明日「税と社会保障に関する一体改革」のうち、「消費税増税」だけに関する法案が衆議院本会議で採決されるということで、そのネタも書こうと思えば書けるが、せっかくだから、根っこのところについて語っておきたいと思う。
最近と今日話題になっていたのがこのニュース。7月から牛生レバー提供禁止という厚労省の決定と、サントリーの「黒烏龍茶」CMの「脂肪にドーン!」が、消費者に誤解を招きかねないという、消費者庁からの「指導(笑)」についてである。
レバ刺し禁止を正式決定、厚労省 7月以降、焼き肉店など(北海道新聞 06/12 16:56、06/12 17:58 更新)
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会分科会は12日、食中毒の恐れがある生の牛レバー(肝臓)の提供を法規制するべきだとの結論で合意した。同省は、7月1日から焼き肉店などでの「レバ刺し」の提供を食品衛生法に基づき禁止する。
違反すれば行政指導の対象となり、2年以下の懲役または200万円以下の罰則もある。
厚労省は昨年4月に発生した焼き肉チェーン店の集団食中毒を受け、生の牛レバーへの規制も検討を始めた。牛の肝臓内部から重い食中毒を起こす腸管出血性大腸菌O157が見つかり、内閣府の食品安全委員会は今年4月、提供禁止は妥当との見解をまとめていた。
(ここまで)
「脂肪にドーン」CM、誤解招く恐れと改善通知(読売 2012年6月25日10時57分)
サントリー食品インターナショナルが販売する特定保健用食品「黒烏龍茶」のテレビCMが誤解を招く恐れがあるとして、消費者庁が同社に改善を求める通知文を送っていたことが25日、わかった。
対象となったのは、アニメの主人公が「脂肪にドーン」とひとさし指を突き出し、「食べながら脂肪対策」というテロップが流れる内容。昨年8月から全国で放映された。
通知文は3月26日付。内閣府消費者委員会の指摘を受け、「偏った食生活を助長する恐れがあり不適切」として改善を求めた。サントリーは「CMの表現は元々配慮して制作している」として、今年6月中旬まで放映を続けた。
サントリーホールディングス広報部は「秋に再開する広告の内容を検討したい」としている。
(ここまで)
参考までに、NHKから映像も。
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上の「レバ刺し禁止」のニュースに関しては、6月12日前後にテレビニュースではしつこく
・「残念ですね」
という主旨の特集を繰り返していたし、
下のニュースに関して、ミクシィなどでは、「こういう指導があるから最近のCMが面白くないのだ!」などという、「一見真っ当」なコメントもある。
しかし、それと同じ口で、例えば去年の大震災の時に、
・「政府は原発対策を何もやっていなかったのか!」
と怒り、あるいは例えば2004年のイラク人質事件では
・「イラクに日本人が言ったことを『自己責任』のせいにするな!」
と怒り、あるいは例えば2001年の牛肉BSE発見事件では
・「政府は『食の安全』を徹底的に厳しく検証すべきだ!」
などと怒っていたのだとしたら、
・「何をバカなこと言ってるの?それこそ『自業自得』だろ?」
と返すしかない。
とにかく、2004年の、高遠菜穂子を始めとする3人が、外務省がイラクに行くなと渡航自粛を要請していたにもかかわらずイラクに行き、テロ集団に誘拐された時以来、左翼学問界の「自己責任概念批判」はものすごいものがあった。東大の大センセイまでもが必死になって自己責任概念そのものを批判し、とにかく結論が
・自己責任という概念そのものが存在しないのだ
というものになるよう誘導された文章が大量生産された。小論文講師としても、課題文としてそういう主旨の文章が書かれたものがテキストに繰り返し出てくるたびに、
「あ、またこれか」
と嫌気が差したのを覚えている。さすがにその波は2010年になり少し収まったが、今でも2chなどでは、未だに民主を信奉している熱心な信者や工作員(笑)の方々が、「自己責任」という言葉が出て来るたびに、いや、出てこなくても、出てきそうになるたびに、
「まーた自己責任か」
と言うことになっているようだ。まるでそこには「こういうときにはこういうセリフを!」というお約束が存在しているかのようである。ふかわりょうがラジオでは「反原発」と演説することになっているかのように(笑)←これについては別記事でまた書く。
私は2004年当時から繰り返し言ってきたつもりだが、「自己責任」という概念を叩けば叩くほど、その分だけ「個人の責任」という概念も自動的に希薄になっていき、最終的には、
・全ては国や自治体などが「上位の審級者」としてものごとを判断するから、「国民」は、国や自治体が許したものは何をどうやってもおかしくならないのだ。
という「価値観」が浸透していき、結果として、ものごとを判断する時、その材料を自分で集め、その根拠を自分なりに組み立て、どちらの根拠がどう正しいか、どうおかしいかを自分の頭で判断する「自己判断力」というものが弱くなっていく。例えば上に書いた、昨年の原発事故に関する
・「政府は原発対策を何もやっていなかったのか!」
という「怒り」がその典型である。政府も原子力安全・保安院も原子力安全委員会も、あれほどの津波を想定していなかっただけなのに、結果だけをあげつらって
「ほら国が悪い!」
と騒ぎ立てるのは、国から賠償金を少しでも多くむしり取ろうとする「ダニ根性」から見れば合理的なのであろうが、日本人の自己判断力という観点から言えば、ただ結果責任を追及しているだけで、そういう営みを繰り返しているだけでは、いつまで経っても日本人の平均的な自己判断力は上がらない、ということになる。
こういう、何でも国のせいにするバカは、おそらく2009年の総選挙でも民主党が言う空手形を信じ、マスゴミが誘導するがままに
「試しに民主党にやらせてみようよ!ダメだったらまた変えればいいし!」
などとホイホイ民主党に投票したのだろうし、←すなわち、自分の頭で、民主党が政権を取ったらどうなるかをシミュレートできていなかった(そして、おそらく今もできていない)ということである。
いざ民主党が政権を取ったら、現在のような目も当てられない状況(消費税、所得税、社会保険料のトリプル増)を見て
「民主党にだまされた!」
などと、自分の投票行為の責任を、これまた「民主党」なる「綱領」もない政党のせいにする頭の悪さが今でも理解できていないのだろう(笑)。
そうやって、何でも判断をまちがえた原因を「お上(上位の審級者)」のせいにしているから、先に挙げた二つのニュースのように、レバ刺しなんぞ「自己責任」で食べればいいのに「国」が禁止するし、「脂肪にドーン」などというCMは、ただの冗談としか思わない私のような人間がいるにもかかわらず、
・「あのCMを見て、アホな国民がホントに黒烏龍茶を飲めば脂肪が『なかったこと』にできるのかも知れない!」
などと思うバカが量産されるだろうと危惧したからこそ、消費者庁の会議での「有識者」が意見を述べたのであろう。前も書いた、トクホコーラに関するバカ騒ぎを見ても、そういう「有識者」の意見は、おおむね正しかったのだと言わざるを得ない。しかし、その代わりに、今後ますます「面白いCM」は減っていくだろう。
(私に言わせれば、CMキャラに「笑うセエルスマン(文字テキトウ)」を起用した時点で、「どこまでホントかわかりませんよ」という裏のメッセージがあると読めなければ、35歳以上の、「ぎみあぶれいく」で笑うセエルスマンをリアルタイムで見ていた世代はリテラシー失格と言っていいだろう(笑)。しかしそんなこともわからない衆愚。つくづく、大衆とはアホであると痛感する(笑)。)
で、こういう、「何でも国や自治体、有識者があらかじめフィルタリングしますよー」という社会は、結局、表題に書いたように、壮大な「赤ちゃんプレイ社会」しか生み出さない。赤ちゃんプレイとは性風俗用語で、いい年をしたオッサンが風俗嬢相手に赤ちゃんになるプレイのことだそうだ。なぜ赤ちゃんに戻りたいのか、これだけ「疲れる社会」を見ているとわからなくもない。ただ、私が疲れているのは、赤ちゃんプレイを求めるオッサンが疲れている対象とは別の対象だろうが。すなわち、自分で考えないアホどもに対してである。
ちなみに言っておくが、赤ちゃんプレイ社会とは、究極的には共産主義が目指す社会像と同じである。毛沢東とそのトリマキの紅衛兵どもが、「文化大革命」と称して、同胞数千万人を虐殺した社会がめざす社会像である。そのくらいは衆愚も知っておいた方がいい。「文化大革命」とやらでは、私のように「自分で考えようとする存在」は「反逆分子」と見なされ、徹底的に弾圧され、虐殺された。そりゃそうである。毛沢東らが理想とした共産主義社会は、
1 共産主義思想においては、正しく考えれば、誰もが同じ結論に至る。それは「理想の社会」というテーマでも同じだ。
2 毛沢東主席が、中華人民共和国においては一番頭がよい。
3 1,2より、毛主席の発言こそが正しいのだから、「自分で考えようとする人間」こそ衆愚である。殺し尽くせ!
この三段論法で簡単に表現できる。あら、今の北朝鮮とそっくりですなあ(笑)。
というわけで長々と書いてきたが、何でも政府や有識者に頼ろうとするバカ国民とバカ左翼自称「研究者」よ。そういう営みが、どういう社会を必然的に引き起こすのか、もう少し想像してから、ギャーギャー騒ぐ方がよかろう。
(ま、左翼バカ自称研究者どもは、そういう「共産主義社会」の中で、「牢名主」として大衆を導く存在となるのだ!などと妄想しているのだろう。つくづくバカである(笑)。)