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前半のアクションだけはすばらしい(岸谷五朗を除く)−藁の盾 ネタバレなし編

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明日が映画の日だからゲロ混みになるだろうと思って、今日行ってきました。『藁の盾』。

 

ひさびさに、この電車吊り広告を見て鳥肌が立ったのはまだ3月初旬だったか。

 

 

実際の吊り広告では、右下に大沢たかお、松嶋菜々子の名前が入っていたと記憶している。

そして相変わらず、目がきわめて悪役くさい(笑)藤原竜也。こりゃ観ねばなるまい!と思っていたが・・・

 

 

うーん、映画館のポスターがこの絵柄では、「藁の盾」という意味深なタイトルが全く生きない、実に平板な映画に見えてしまう。正直に言って、ホムペの最初もこれで、少し観る気が萎えていた。

 

で、実際に観たが、やはり、「実に平板な映画」であった。今のところ各映画サイトでは3.5/5くらいの評価を得ているようだが、私の採点は、

 

35点/100

 

である。うーん、かなり低い点数。

 

◆ダメポイント1:脚本上の藤原竜也の「クズ」ぶりが弱い。

この物語、とにかく、藤原竜也扮する「清丸国秀(きよまる くにひで)」が、映画館の観客の誰もが

うわ!!マジで「クズ!!!!」

と思えるような脚本でなければ、観客はこの物語の中に全く入り込めない。

そのためには、脚本上、序盤の幼女殺人事件を、あの「踊る大捜査線」あるいは「アンフェア the answer」程度には「ひどいもの」として、画的に描かなければならないところを、のちのち日テレでゴールデン枠で再放送をすることに配慮してか、限りなく描写が薄い。

その証拠に、映画序盤から「若刑事(永山絢斗扮する『神箸正貴』)」の方が、なぜあんなにツッパり続けているのか、彼の演技力に全く関係なく、心情的に共感できない観客がほとんどであったことだろう。

<永山絢斗扮する神箸正貴(公式HPから)>

 

この点は、藤原竜也がいくら「狂気」を途中で演じても、説得力が上がらない。すなわち、「脚本上、演出上、制作上のミスを、演技が埋められない」というデッドロックに思い切り嵌まってしまっているのだ。

 

 

◆ダメポイント2:伏線があからさま。配役もあからさま。どこかで意外感を出してくれよ頼むから!!!

ここは、詳しくはネタバレあり編で書かないと、フルボッコに遭うだろう。ただ、「驚愕のラスト」では全然ないということだけはここに明記しておこう。

クズ役は、正直言って藤原竜也はもう飽きたから、例えば松田龍平あたりの方が良かったと思うがなあ。綾部剛は目つきの点ではパーフェクトなんだが、今が旬すぎるからパス。←いや、こういう点ってホントに大事なんだって!

松田龍平はこの15年くらいでようやくいい役者になってきたから(ホント、これも松田優作の息子じゃなかったら完全におまんま食い上げになっただろうな)、あの目つきと無精ヒゲとセリフ回しで、かなり恐ろしい「クズ」になったと思うのだが。

上の吊り広告で鳥肌が立ったと確かに書いたが、あの写真が、松田龍平だったらもっと鳥肌モノだったと思う。ポイント1でも書いたように、脚本上の問題が多すぎるのではあるが。脚本上、あるいは後のテレビ放映上、ビジュアルで幼女殺人の残虐性が描けないのなら、せめて「クズ」の「ビジュアル」もフル動員して、その「クズ」っぷりを出してもらわないと、最後までこの物語に共感できない。

そう。この脚本では、藤原竜也ではビジュアル上、どれだけ狂人を演じようとも、美しすぎるのだ。しかも脚本上、「そりゃ狂人じゃないだろ」ってつっこむところもあったわけだし。←ハイここもネタバレあり編で。

 

「いや、逆にそこがいい!例えば最後のシーン!」

とか思う人はそれでいいけど。私に言わせれば、最後のシーンは、藤原竜也の顔やシャツがきれいすぎるせいで、逆に説得力ゼロだった。

「あー、最後まで薄っぺらい話だったなー」

と落胆しただけだがな。

 

あと・・・ハア・・・岸谷五朗、演技力落ちまくりですな。オーラとして、松嶋菜々子にさえ完全に負けている。スタニスラーフスキーシステム的な意味でのリアリティではなく、背中から湧き上がる「オーラ」を作らないと、伊武雅刀や山崎努の渋い演技に期待して観に来た観客は、岸谷五朗が入ってくるたびに、

 _| ̄|○ ・・・

となること請け合いである。何度も言うけど、岸谷五朗ね。伊武雅刀や山崎努レベルから見ると、岸谷のオーラが貧相すぎて見てられなかった。まだ、永山絢斗の目つきの方が、いかにも「刑事」としての目ヂカラを出していた。やっぱこれもネタバレあり編で追加ですな。

 

◆ダメポイント3:これも脚本上だが、大沢たかおの性格作りが弱い。

大沢たかおは、藤原竜也以上に、善玉も悪玉も演じられるいい役者だと思うのだが、妻との関係、あるいは松嶋菜々子扮する白岩篤子との連携というか、SPどうしの信頼感が、物語が進むにつれて醸成されていかないと、大沢たかおも、

「ああ、脚本上こうなってるからこう演じてるんだよなあ〜」

と思うだけ。決定打はあの暗転。←またこれもネタバレ編で。

 

 

逆に良い点は、

◆前半のアクションが画的にものすごくいい。しかしここでも岸谷五朗が足を引っ張っている・・・。

ツン98%、デレ2%の松嶋菜々子、ショートカット&SPバージョンを見たい人には垂涎であろう(笑)。

テレビCMでもやってたように、新幹線内での拳銃アクションはものすごくいい。 勝手に脳内で長篠の戦いが浮かぶほどだ(観てないとわからんやろけどw)。

 

<これも公式HPから。新幹線内はこんな感じで銃撃戦が始まる。
(というかもう始まった後やね)
ここ日本やでおい(笑)。しかしそれでも、いいものはいい。>

 

伊武雅刀もいい。銃に対する複雑な思いが、新幹線内アクションの中で、一瞬しか出てこなくても、しっかり表現されている。「日本の刑事ってこうだよね!!」である。←観た人は勘違いしないように。「新幹線内」でのアクションだ。「新幹線外」のことではない。

私の記憶が正しければ、

永山絢斗→岸谷五朗→大沢たかお→伊武雅刀→松嶋菜々子

の「五連コンボ」があったはずだが、すまん。岸谷さんのところで萎え萎えだった・・・ _| ̄|○

 

どんな刑事なのか、キャラづけをハッキリしろよ岸谷五朗と三池監督よ!!!!

 

というわけで、岸谷五朗を除く俳優たちの、新幹線内のアクションにほれぼれしたいなら、この映画はオススメである。

 

私は「家政婦のミタ」は全体で2秒ほどしか観ていないが、これだけの演技ができるのなら、松嶋菜々子のギャラがボーンと上がっても納得だな。あのアクション、体中にアザを作りながら、何ヶ月も練習したのだろうと思う。体さばきのキレも、ものすごく良かった。 

ただ、松嶋パートも、脚本がダメダメなせいで・・・・正直言って台無しなところが。 

 

だから、トータルで35点しかつけられないのだよ。。。 

 

さて、ネタバレあり編に続くか。

 


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