今日(正確には昨日)が祝日だからかも知れないが、朝日さんが張り切って、「政治時評2011 オピニオン」のコーナーで、東大の宇野重規教授が、日本共産党の志位和夫氏(日本共産党委員長)と、「世界と日本の現状と課題を論じ合」った。
まあ、実質的には志位君に宇野君が聞いたってことだ。
いやー、この記事に気づかなかったら、この壮大な茶番をとりあげることはできなかった。ラーメン屋に感謝である。
【抜粋1】
宇野 先進資本主義国の窮状と対照的に中国は成長しています。
志位 中国では、1978年から進めた「市場経済を通じて社会主義へ」との改革開放路線のもと経済が発展し、絶対的貧困人口が6億人減りました。こうした道を選択したのは合理的だったと考えています。
・・・今から約20年前、当時の不破委員長が田原総一朗に、「理想の社会主義国を一つ挙げるとすればどこだ」と聞かれ、最初は断ったものの、「どうしても挙げろと言われたら」と食い下がられたときに、
「ルーマニアだ」
と不破は答えた。その直後に、ルーマニアのチャウシェスク大統領の暴政が発覚し、クーデターによってルーマニアの惨状が明らかになった。その事実を知らない志位君でもあるまいに。
にもかかわらず、
「絶対的貧困人口が6億人減った」
って、中国の発表を鵜呑みにしているのか?さすがに党員を中国に送ってカウンターでカチカチ数えてきたわけでもあるまいに。このように、この期に及んでも、信頼性のない数字を根拠に自説を展開する。中国の内陸にいる「超貧困層(というか、超低賃金でもなんとか生活できている層)」がどれだけ低賃金で働いているから、今の見かけ上の経済成長が達成できているのかと想像する能力すらない。だから日本の左派言論は貧困きわまっているのである。
【抜粋2】
宇野 18世紀末のフランスの思想家で革命家のバフーフは「真の平等こそがコミュニズム」と定義しましたが、共産党はどう考えているのでしょうか。
志位 社会主義の核心は生産手段の社会化です。社会化とは、生産手段の国有化、集団化で達成されるものではない。自覚的に結びついた生産者が、生産手段を管理、運営する過程に民主的に参加し、「生産者が主人公」になってはじめて社会化といえます。旧ソ連には国有化、集団化はありましたが、生産者は抑圧され、惨めな存在でした。社会主義とはまったく無縁の社会です。
・・・「生産者が、生産手段を管理、運営する過程に民主的に参加する」って、具体的に言えばどういうことなの?毎日一人一言ずつ管理、運営に対して発言をするってこと?それともツイッターみたいに一日に10回も20回も発言をして、本業の「生産」がそっちのけになってもいってことか??
「反原発」とまったく同じで、単なる「なんかいいイメージで衆愚を誘導すること」しかできていない。「生産者が主人公」という社会を、例えば日本共産党という組織で作ることができてから、初めてそういう「イメージ戦略」が成功する可能性が出てくるのだが。
日本共産党で、幹部ではなく、「一党員」がそれぞれ「主役」である状態ってどういうこと?今ならyoutubeもUstreamもあるんだから、そういう「状況」なり「情況」なりを「映像」に収めて公開してくれよ。お願いだから。
できないのなら、そういう「絵空事」で、「情報弱者」を釣って、釣った後はただの歯車として動員しているだけの、ただの大企業と変わらない現状を認めることから始めなよ、日本共産党。例えば私の実家は、「義理」で赤旗取らされているぞ。どこが「主人公」なんだ??ただ人間関係につけ込んでるだけではないか。
こんな、空疎な「絵空事」を、「政治時評2011」と大仰なタイトルで1面も使える朝日さん、さすがだ(笑)。
話はタイトルに戻るが、共産党内では「論文の志位君」と呼ばれているそうだ。論文は見事だが、選挙には弱い志位君だと。私に言わせれば、論文の志位君ですらないだろ・・・もう少しまともな、現実的な発言を論文にしなよ。このレベルで「論文の志位君」などと言っていると、日本共産党にはボンクラしかいないのかってことになるぞ。そりゃ選挙ごとに議席を減らしても「当たり前」と言われておしまいだよ。